名古屋掖済会病院は救急救命センターを持ち、災害拠点病院、臨床研修指定病院にも指定されている地域中核病院です。同病院の取り組みの中で注目に値するのが地域医療の発展・充実を目的とした“病診連携”です。
日常的な診察は自宅近くの診療所・クリニックで受け、慢性疾患や重篤な症状の患者は地域中核病院が受け入れるという仕組みで、高価な検査機器を導入できないクリニックに対して中核病院が検査を代行したり、入院中の患者をクリニックの医師が診察できる開放型病床を活用した主治医2人制度などを推進しています。
こうした病診連携を実現するのに不可欠なのが、病院と診察所間の情報共有です。掖済会病院は情報共有のための基盤として2002年、独自の「エキサイネット」を開発。その後、このシステムを進化・発展させ、地域の病院や診療所とカルテデータやCT・MRI画像などの患者情報のオンラインでの共有化を進めてきました。
しかし、言うまでもなく患者の病歴や投薬歴、各種検査画像などの情報は、決して外部に漏らしてはならない個人情報です。そこで掖済会病院ではオンラインでの情報の送受信にVPNサービスを利用していましたが、当初はさまざまな問題があったと言います。
「院外の診療所やクリニックからアクセスしてくるユーザの多くは高齢の医師で、設定や操作が難しいという意見が寄せられていました。接続できないという声に対応するため、診療所に出向くこともしばしばありました。そこで、高度なITスキルを必要としないUSBデバイスでの個人認証でセキュリティーを確保する方法を選びました」(同病院情報管理センター長、奥村幸光氏)

当初、名古屋掖済会病院ではUSBデバイスとして「USBキー」を選択。実際に導入して稼働を始めました。PCに差し込み、PINコードを入力するだけでブラウザを開き、ログインするまでを自動で行えるという意味で、このデバイスは病院のニーズを満たすものではありましたが、一方で問題もあったと言います。
「認証デバイス(USBキー)とIP-VPN機器の連携不足によるシステムトラブルが頻繁に起きたんです。機器の相性という意味で不安定だったんですね。そこでUSBトークンとCAの双方を開発している企業はないかと探している中で、ペンティオ株式会社のことを知ったんです」(同センター主任、加藤三千代氏)
ペンティオの担当者との面談の中で、デバイス内部で認証を行い、秘密鍵を外部に出さないUSBトークンの方が、USBキーに比べてよりセキュアであることを知り、ペンティオ PKI USBトークンの導入を決めたのです。
さらに、ペンティオのUSBトークン&CAと親和性が高く、多くの導入実績もあるF5ネットワークスのSSL-VPN製品FirePass®も併せて導入し、システムの安定性の向上を図りました。また、FirePass®とPKI認証サーバを冗長化させ、いかなる状況においてもシステムが停止しない体制を構築したのです。
現在、このエキサイネットを活用しているユーザは、院内の医師が約50名、院外の診療所、クリニックの医師が約80名。レントゲンやCT・MRIなどの画像情報をはじめとするすべての検査結果が、検査終了後ただちにサーバに登録され、USBトークンを持つアクセス権限者の間で共有化することができます。
診療所やクリニックから名古屋掖済会病院に紹介されてきた患者の情報を共有化できるというメリットだけでなく、当直の医師しかいない深夜などの時間帯に運ばれてきた救急患者の検査結果を担当医が自宅PCで閲覧し、病院に駆けつける前に初期対処や治療の準備についての指示を行えるという利点もあります。地域医療の質の向上だけでなく、救急救命医療のスピードアップにも、エキサイネットは大いに貢献しているというわけです。
「病院は命を預かる場所。治療も、それを支えるシステムの構築にも、常にベストを尽くさなければならないと考えています。ペンティオのPKIソリューションは、安全性、操作性、安定性など、すべての面で我々の要求水準を満たすものであり、いい選択だったということを実感しています」(奥村センター長)
私たちペンティオにとっても、製品の提供を通じ、地域医療や救急救命医療の発展に寄与できたことは、大きな喜びです。今後も顧客ニーズを満たす提案を続けていけるよう、努力していきたいと考えています。